東京のスポーツ整体治療院【神楽坂整体たいむ】

FIP治療終了後の総括や余談

FIP治療終了の報告とお礼【2022.03.07】黒猫闘病記

昨日、3月6日をもちまして、無事にシシのFIP治療を終えることができました。
まずはこの場を借りて、温かいご声援をいただいた皆さまに心から感謝とお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

中には「猫さんを優先してあげて!」とご予約の時間を変更してくれる方もいて、お陰さまでなんとかシシの治療と仕事を両立することができました。
また、私がシシの治療で忙しく、疲労しているのを見て「ご飯を作るのも大変だから」と冷凍食品やレトルト食品を差し入れしてくださる方もいて、私たちは本当に助けられました。
大変な環境に置かれ、人も猫も身近な多くの人に支えられて生きているのだと実感した次第です。
その節は本当にお世話になりました。
ありがとうございます。

なお、シシの経過は良好で、2週間後の経過観察をもって一連の過程を終えることになります。
思えば12月1日(FIPを発症したと思われる日)から3ヵ月、本当にアッと言う間でした。
治療を始めるまではもちろん、始めてからも状態が落ち着くまで、何度「もうダメだ」と思ったことでしょう。。
その度に動物病院に駆け込んで助けていただきました。

お陰さまで、もうすぐ10ヵ月となるシシは、日に日にスクスクと成長しています。
こんなにも穏やかな日が戻ってくるとは思っていませんでした。
これも一重にシシのために協力してくれた皆さま、温かい言葉をかけて励まして下さった皆様のお陰です。
本当にありがとうございました!


3月6日に終了したFIP治療の報告と挨拶を13日の動画に載せてお送りするYouTubeページへのリンクです

余談【2022.03.07】黒猫闘病記

昨日の動物病院で1つ、衝撃的なことがわかりました。
それは…「去勢ができない」…ということです。

FIPは猫さんにとっての【難病】です。
難病なので、基本的には治りません。
シシも昨日で治療が終わり、症状も落ち着きましたが【治癒】ではなく【寛解】という表現になります。
これは、FIPが現時点ではまだ完全に治らない病気だからです。

どういうことかというと、ウィルス検査で抗体価が下がってきて【陰性】となると「ウィルスが死滅した」もしくは「体内からいなくなった」と思いますよね?
FIPの場合は少し違います。
抗体価が下がって【陰性】となっても「ウィルスが大人しくなった」という状況でしかないそうです。
そのため、何かしらの外部的な刺激や猫さん自身のストレスによって「大人しくなっていたウィルスが刺激」されて、それをキッカケに再発してしまうことがあるというのです。

では、それと去勢にどんな関係があるのかというと、大きく2つの要因が考えられるそうです。
まずは【手術】それ自体の刺激とそれに伴う炎症です。
それから【ホルモンバランスの乱れ】によるストレスです。

避妊去勢手術はほとんどの猫さんが受ける手術の1つではありますが、手術なので外部的な刺激が強いです。
そのため、少なからず体には炎症が起きます。
この炎症に触発されてFIPを再発してしまうケースがあるということでした。

また、去勢を行うことで猫さんには急激なホルモンバランスの乱れが生じます。
それによるストレスが影響してFIPのウィルスが刺激され、やはりFIPが再発してしまう可能性があるようです。

これらの点から、シシを担当してくれた獣医さんの話では「FIPを発症してしまった子は極力去勢(避妊)は行わないようにしたい」という方針のようでした。
もちろん、男の子のスプレー行為など人の生活に支障が出るような場合は手術を行うのですが、その時は「再発覚悟」という話でした。

優先順位というワケではありませんが【命と去勢(避妊)】なら比べるまでもないですよね。

ということで、どうやらシシ坊は去勢を受けることができない保護猫出身猫さんということになりそうです。
保護主さんにもこのことは伝えて、許可をいただかないといけませんね。


ちなみに、難病は「まだ解明されていない病気」のことになります。
FIPの場合は治療薬ができてまだ日も浅く、現時点では絶対的なデータ不足です。
今後、徐々に治療法が浸透して価格が下がり、多くの猫さんが治療を受けられるようになれば、いつかはキチンと解明されて「治る病気」になってくれるかもしれません。
シシ坊もそのための貴重なデータとして役に立つことができました。

FIPは、今はまだ「死の病」ですが、確実に「治る病気」に近づいています。
現にシシは克服することができました。
1日でも早くFIPが解明され、多くの猫さんと飼い主さんが幸せに暮らせるようになることを祈っています。


総括①費用【2022.03.08】黒猫闘病記

まだ3月20日の経過観察は残っていますが、一先ずの区切りとして今回の件で「いくらかかったのか」ちゃんと現実を見ておこうと思います。

お金、大事、とっても。

ということで、まずは合計からです。
合計はなんと!

960490円(税込1056539円)!

税込ではやはり大台の100万円を超えてきましたね。。
現在、2022年3月の時点ではFIP治療はまだまだ高額ですが、やはり最低でも100万円ほどはみておいた方が良いようですね。
今後、動物保険が適用されるようになったり、新しく安価な治療法が見つかってくることを祈って、何より愛猫がFIPを発症しないことを祈りましょう!
やはりツライ猫さんを見るのはイヤですし、猫さんにもツライ思いはしてほしくありませんからね。



次に気になる治療薬の金額です。
シシは中国の治療薬で【MUTIAN】というお薬を84日間連続投与しました。
投与前に「1日1万円」という噂は聞いていたのですが、実際にかかった金額はいくらだったのでしょう?
シシがかかった【MUTIAN】FIP治療薬の合計は…

707590円(税込778349円)!

おぉ、思いのほかかかっていません!
…といっても高額ですけどね。。汗

実はシシがお世話になっていた病院は、ほぼ原価でお薬を提供してくれていました。
これはその病院の院長先生が「FIP治療で商売をしようとは思っていない」からだそうです。
その志のお陰で、一般的に「1日1万円」と言われている費用を大幅に下回ることができています。
(税込になると約78万円ですが、それでも6万円も少なく済んでいます)

また、先生の指導により太り過ぎないようにコントロールすることができたのも大きな要因だと思います。
MUTIANは体重に比例して投与量が決まります。
体重が重くなれば投与量も増えるので、お薬代は当然高くなります。
そのため、成長に悪影響が出ないように、また、ちゃんと体力がつくようにしっかりと経過を診て指導してくださった先生方のお陰で、シシは必要最低限の投与量で済んだのではないかと思っています。

余談となりますが、シシは投与失敗に伴うロスが1個もありませんでした。
MUTIANがカプセルから錠剤になっていたこともあり、コツさえ掴めてしまえば比較的飲みやすかったのではないかと思います。
参考までに、シシに投薬している様子を公開しているYouTubeページがあるので、良ければご覧ください。

2月24日,シシの投薬の様子をご覧いただけるYouTubeページへのリンクです


さて、メインのMUTIANにかかる費用は思いのほか抑えられていましたが、FIP治療はMUTIANだけではありません。
それと同じくらい大事なのが【検査】です。
シシも1週間ごとだったり、通院の度に血液検査を行ってきました。
ということで、それらの合計をみていきましょう。
シシがFIPを発症してから3月6日までにかかった検査費用は…

180000円(税込198000円)!

おぉ、約20万円とは。。
これはなかなかですね。汗
しかし、これはもう仕方がありません。
病気の猫さんを「FIPだ!」と診断するにも検査は必要ですし、治療薬の効果判定を行うにも検査は必要です。
当然、経過を診ていくにも検査は必要ですし、良くなって「寛解」という判断をするにも検査が必要なのです。
もう「検査検査また検査」です。
仕方がないことですので、ある程度検査を繰り返すと見込んでおくのが正解です。

ちなみに、シシがお世話になっていた病院では【ウィルス検査】については無料となっていました。
これは「今後の研究に」とシシの血液を研究機関に検体として提供していたからです。
そのため、他の検査のように紙での検査結果をいただくことはできませんが、大事な数値などは教えていただくことができます。
私もお願いしてPCの画面上で見せていただき、記録として写真を撮らせていただきました。
とまぁ、このような理由でシシにはウィルス検査の費用がかかっていません。
それでも税込みで考えれば約20万円という検査費用がかかっているのですね。
つい治療薬の費用に目が行ってしまいがちですが、検査費用も普通に考えたら恐ろしいことになっていますね。。



さて、治療薬と検査が凄すぎて忘れてしまいそうですが、まだ満額には達していません。
残った諸々のことにかかった費用は…

72900円(80190円)です!

おぉ、なんだか急に安心なお値段に…と思ってはいけません。
地味に10万円目前ですからね!

その他の費用には、いわゆる診察料や各種処置料に加え、合併症や二次被害を防ぐためのMUTIAN以外の治療薬の代金などが含まれます。
シシの場合、それらの中で最も大きな割合を占めていたのが【胸水抜去処置料】です。
シシは全部で5回、胸水を抜いてもらっています。
これがなければ今ごろ虹の橋を渡り切って新しい世界に旅立っていたことでしょう。
その費用が1回8000円で、4回分の32000です。

「4回分?」

はい。
実は残りの1回はFIP治療でお世話になっていた病院ではなく、地元の掛かりつけ病院でお願いしたのですが、その先生が頑なにお金を受け取ってくれないのです。
本当に「命を救っていただいた」と感謝しているので、何度も連絡して「支払いに伺いたいので都合の良い時間はありますか?」と連絡してきたのですが、先生は「それはもういいから、元気になったら顔を見せに来てください」と。
ということで、1回分の胸水抜去処置料は0円となってしまいました。
良い病院を紹介していただいたばかりか、命も救っていただき、さらにお金まで。。
2週間後の経過観察を無事に終えることができたら、その時は手土産の1つでも持ってシシと一緒に挨拶に伺おうと思います。

さて、話が少し外れてしまいましたが、ともかく胸水抜去処置料でこの中のおよそ4割ほどとなります。
残りは40900円(44990円)ですが、これは本当にもう細々としたもので、振り返ってみれば無駄になってしまったものもあるのですが、初見でこのあたりの事を抑えるのはほぼ不可能だと思います。
ということで漿液の抜去処置がなかったとしても4~5万円くらいはかかるとみておくのが良いでしょう。



と、このようなところでおおよその内訳は終わりました。
総括としては「これでも少額で済んだ方だ」でしょうか。。

とにもかくにも、今はまだFIPの治療はお金がかかりすぎます。汗
そんな中、地元の先生を始め、FIP治療でお世話になった動物病院の先生方のお陰で、シシの命が助かったばかりか、経済的な負担も最低限のランクまで抑えることができたと思います。
本当に環境に恵まれていたと思います。



シシのFIP治療にかかった費用の総額を公開!3月16日の地震でビビっているシシとともにご覧いただけるYouTubeページへのリンクです



余談②MUTIANの読み方【2022.03.09】黒猫闘病記

突然ですが、シシがお世話になったFIP治療薬【MUTIAN】ですが、今まで散々出てきたものの常にアルファベット表記だったのにお気づきでしょうか?
実はこちらのお薬、ネット上では「ムティアン」と呼ばれていることが多いのですが、シシがお世話になっていた病院では「ミューシャン」と呼ばれていました。

そう、呼び方がマチマチで正しい読み方がわからなかったのです(笑)

正直、どちらでも良いといえばどちらでも良いのですけどね(笑)

その後①発情期?【2022.03.10】黒猫闘病記

8日の出来事なのですが、夜、シシ坊がソファの上で何やらプルプルっとしていました。
ここ数週間、たまにこのようなことをするようになったシシ坊なのですが、見に行っても何もなく、特別ニオイなどもなかったので放置していたのです。
しかし、この日は何やら普通ではありませんでした。
どう普通ではなかったのかというと、それはこのような感じです。

まず、プルプルっとした後に一目散にトイレに駆け込んできました。
しかし、特に何かするでもなく、またソファの上に戻ります。
そして、先ほどプルプルっとした辺りをクンクンして、おもむろに「シャッシャッ」と砂をかけ始めたのです。

もちろん、そこに砂はないのでエア砂かけですが、流石に「これはおかしい」と思って何があったのかを見に行きました。
すると、シシ坊は「ヤベェッ!」とばかりクンクン&砂かけを猛烈な勢いで繰り返しているじゃありませんか。
見るからに焦っていました。
猫なのに、本当にわかりやすい焦り方でした(笑)

本当に何事だろう?

そう思って近づき、現場を確認して納得しました。
シシ坊は、オシッコをしていたのです。。
ほんのちょっとだけ。
シシ自身も「なんでこんなところで?汗」と思っているらしく、必死で隠そうとして砂かけをしていた…ということのようでした。

きっと「発情期」なのだとは思うのですが、スプレー行為に失敗したのでしょうか?
一応、ニオイを確認してみたのですが、意外なことに無臭でした。
猫さんのオシッコは臭いと評判ですし、スプレー行為のオシッコも別の意味で臭いと聞きます。
それなのに、今回のシシのオシッコは無臭でした。。

謎が謎を呼ぶシシ坊のオシッコ騒動。
今だけのものなら構わないのですが、ずっととなるとちょっと可哀そうですね。。汗

総括②MUTIANの服用期間【2022.03.11】黒猫闘病記

FIPの治療について調べたことがある人ならわかると思うのですが、正直、MUTIANの治療期間(84日間)って長すぎると思いませんでしたか?
MUTIANもGS製剤も現時点ではとても高価なお薬です。
ウェットタイプを発症した猫さんでも平均1日1万円くらいかかってしまうといわれています。
それが84日間。
「いや、ホント勘弁してください」と思いますよね。
なんなら「製薬会社が儲かるために治療期間を長くしてるんじゃないの?」なんて邪推してしまうかもしれません。
そこで、今回はこの治療期間が果たして適当なものなのかを考えてみようと思います。

まず、はじめに結論だけ伝えておきますが、私個人としてはこの治療期間は「必要」だと考えています。
理由については後述しますので、ここでは私が賛成派であるという程度の認識でいて下されば大丈夫です。
では、早速シシの状態を振り返って考えを綴っていこうと思います。



まずは症状に注目していきます。
シシは12月1日にFIPを発症したと思われており、その後、10日ほどで「もうダメだ」というくらい急激に病状が進行していきました。
そして13日のMUTIAN投与開始から1週間ほどで命の危険を感じなくなるまで回復しています。
このことから、症状だけをみると「1週間で落ち着くほど著効を呈す」という評価ができるのですが、これが逆に「1週間で良くなるならそれ以上は飲み続けなくても良いのでは?」という印象に繋がってしまうのだと思います。
正直、私たちも症状が落ち着いてきたタイミングで「これだけ効くなら84日間も飲み続けなくても良いのでは?」と思いました。
なんなら「状態が良いからもう良いでしょう」と早く治療が終わるのではないか…なんて期待すらしていました。
ですから「服用期間が長すぎる」「状態が落ち着いてきたらもう良いのでは?」と感じる人の気持ちはよくわかります。

では、次に検査結果に注目していきます。
まず、FIPで行う検査で特に注目されるのがAG比という数値なのですが、シシはコレがなかなか改善しませんでした。
通常FIPでは0.4以下という数値を基準とされるのですが(理想値0.8)、シシは0.6とそこまで酷くはなかったことも一因ではあります。
しかし、それにしてもなかなか改善しませんでした。
ようやく改善したのが2月1日通院時の検査ですから、治療を開始してちょうど50日というところです。
ちなみに、AG比のAはアルブミンで「栄養状態」だと思ってください。
Gはグロブリンで「免疫」です。
つまりAG比とは免疫と栄養状態の比率というワケです。
病気の時は免疫が活性化しているのでG値が上がり、食欲がなくなってご飯が食べられなくなることで栄養状態が悪化してA値が下がります。
これによってAG比が減少する…という理屈です。
FIPは特徴的な症状に「食欲の減退」があげられることからも「栄養状態が悪化しやすい」ですし、ウィルスの増加(活性化)も急激なためそれに対する免疫も増加しやすいですからAG比が減少するということです。
そして、これが改善傾向を示すまでシシは50日もかかったのです。

次に、確定診断にも用いられる抗体価についてみていきましょう。
シシは12月8日時点での検査で抗体価が25600となりFIP【陽性】の診断となりました。
その後、12月21日採血分の血液で51200と最大値となり、1月18日採血分の血液でも未だに25600という高値を維持していました。
そして、これがようやく減少し始めたのが2月15日採血分の血液で6400。
数値は確認できていませんが、獣医さんからの経過報告で「良くなっている」と伺った2月1日採血分の血液ではおそらく12800なのだと思うので、抗体価が改善傾向を示したのは2月1日分からと考えるのが妥当です。

と、血液検査の結果からAG比と抗体価をピックアップしてみてきましたが、奇しくもどちらも2月1日から改善傾向が診られていますね。
症状自体は1週間~10日ほどで改善しているにも関わらず、検査では50日でようやく改善し始めていることが確認できます。
これはどういうことなのか考えてみると、このような状態が想定されます。

①お薬のお陰で症状自体はグッと抑えることができる
②症状が治まっても、しばらくはお薬とウィルスが拮抗している
(お薬で悪化を防いでいる段階、やめるとウィルスが活性化して再発リスク高)
③治療を開始して50日ほどでようやくお薬がウィルスを抑制し始める
④ここから徐々にウィルスの活性が抑えられて陰性に向かっていく
⑤ウィルスが完全に抑制されるまで、ここからさらに日数が必要となる

このことから、ウィルスを完全に押さえ込み、状態が「落ち着いた」という段階まで改善するためにはやはり平均84日間程度の投薬期間が必要になるのだと思います。
症状自体が良くなっても、それはあくまでもお薬がウィルスを抑えてくれているからで、病気自体が良くなったわけではないというのが検査の経過と照らし合わせてみていくことで顕著に表れていますね。

ということで、私個人としては現時点でのFIP治療にはこの治療期間が必要不可欠なものであると感じています。

総括③FIPの黄疸について【2022.03.16】黒猫闘病記

FIPの特徴的な症状の1つに【黄疸】があげられます。
黄疸とは、白目や耳、皮膚が薄いところが黄色く色付いて見える症状のことをいいますが、これは猫ばかりではなく人でも診られる症状です。
人の場合、肝臓や胆のうに問題があると診られる症状なので、肝臓や胆のうの状態を判断するうえで大切な指標の1つになっています。
では、猫の場合はどうなのでしょう?
猫であろうが人であろうが生物であり、同じ機能を司る臓器を持っている以上、これは同様です。
つまり、猫の黄疸も肝臓や胆のうに問題がある時に診られる症状なのです。

獣医さんから「黄疸が出ている」とうかがった際、私もこのような理由で肝臓や胆のうの機能を疑いました。
しかし、血液検査の結果から、肝臓や胆のうの異常は見当たりませんでした。

では「肝臓や胆のう以外で黄疸が出るケースは他にはないのか?」と問われると、その答えは「あります」となります。
その黄疸が出るもう1つの理由が【赤血球の破壊】です。

FIPは血管炎を起こす病気なので、この炎症によって赤血球が破壊されて、その残留物質としてビリルビンが増加して黄疸となっている…というように考えると。。

「なるほど」

シシには「貧血」の症状が診られました。
舌も真っ白になっていて、誰の目にも明らかな「貧血」でした。
もちろん、胸水型だったために胸腔内に溜まった胸水で肺が圧迫されて呼吸が浅くなり、呼吸から得られる酸素が足りなくなっていたのもあるでしょう。
しかし、それだけではなくFIPによる血管炎で【赤血球が破壊】されていたのだとすれば納得できます。

と、実は私も最近までそう思っていました。

しかし、FIPの治療を終えて、過去のシシの様子や検査の結果を振り返って「客観的な視点」で見た時、これがどうも違うのではないかと思えました。
なぜなら、血液検査の結果を見ると、ドコをどう見ても「赤血球の破壊」を裏付ける数値がないからです。

肝臓も胆のうも悪いわけではない。
なのに黄疸が出ている。
となれば、疑うのは赤血球の破壊に伴う高ビリルビン血症です。
シシもTBilが高値を示しており、高ビリルビン血症であることがうかがえます。
しかし、それならば当然悪化していないといけない数値が正常値だったのです。
それは【RBC(赤血球の量)】【HCT(血中の赤血球の割合)】【Hb(血中ヘモグロビン量)】【MCV(赤血球の大きさ)】【MCHC(赤血球のヘモグロビン濃度)】といった、赤血球(貧血)に関する数値です。
これらが正常値内ということは、溶血による赤血球の破壊は起こっていないことが想定されます。

これらの数値が正常値であっても、なお高ビリルビン血症となる要因はないのか?

そう考えてみました。
すると、これがなくはないのです。
それは脱水症状です。
脱水症状であれば採取した血液の濃度も濃くなります。
となると、溶血によってこれらの数値が下がっていたとしても、脱水によって底上げされてしまい、プラスマイナス0で正常値に戻ってきている可能性も考えられるのではないでしょうか?

…ありそう。
でも、これはないのです。
なぜなら、シシには脱水症状が出ていなかったからです。

つまり、シシは肝臓も胆のうも悪くなく、赤血球の破壊も起きていないのに高ビリルビン血症となっていたことになります。
俄かには信じ難いことですが、そうとしか考えられません。
物理的に考えて、黄疸が出る要因がないのに症状として黄疸が出ている。
そして、そのための高ビリルビン血症となっている。

正直、意味が分かりません。
自分でもこのことに関して、いくら考えてみても意味不明です。
しかし、だからこそ【病気】であり【難病】なのかもしれません。

私の専門は整体ですから、人体のマクロ医学です。
その私では血液成分やウィルスといったミクロ医学を考察するのは、この辺りが限界のようです。
そこで、FIPにおける【黄疸】について、私なりにこうまとめておこうと思いました。

「肝臓にも胆のうにも異常がなく、溶血も起きていないのに高ビリルビン血症となって黄疸が出ているような特殊なケースはFIPである可能性が高い」

以上です。
今回は少し医学に偏った内容になりましたね。


総括④投薬方法(補助道具編)【2022.03.17】黒猫闘病記

FIPの治療では、使うお薬がGS製剤であってもMUTIANであっても、どちらにせよ84日間の同時刻連続投与が課せられます。
これは、現時点では逃れることができない絶対的なタスクです。
これをクリアせずしてFIPの克服はありえません。
そのため、このことが理由で治療を諦めてしまった飼い主さんも少なくないと思います。
私たちも最初は「猫に内服薬の投与なんて絶対無理!」と思っていました。
しかし、終わってみればシシはお薬のロス0を達成し、最小限のコストで治療を終えることができたのです。

ちなみに、シシが大人しくお薬を飲んでくれる猫さんだった…ということはありません。
なぜなら、投薬して間もない頃は1時間格闘してやっとやっとの思いで飲んでもらえていたのですから。
治療初期といえば、子猫でまだ体も小さく、力も弱いばかりか、病気でまだまだ体も弱っている状態です。
それなのに1時間、シシは力の限り「イヤだー!」と抵抗し続けていました。
そんな猫さんが大人しくお薬を飲んでくれるお利口さんだと思いますか?汗

そんなシシでもお薬ロス0で無事に84日間の連続投与を終えることができています。
これは私たちが特別に投薬が上手だったから…というわけではありません。
確かにいろいろと工夫はしましたけどね。
ここでは、そんな投薬の工夫をまとめてみたいと思います。



まず、シシが服用していたお薬は中国の【MUTIAN】でした。
以前はカプセルだったそうですが、今では錠剤となっています。
そのため、カプセルよりは幾分投与しやすくなっていたのではないかと思います。
しかし、それにしても200mgの錠剤はそれなりに大きく、始めのうちはかなり苦労しました。
先ほども書きましたが、始めのうちは1時間ものあいだ何度も何度も挑戦していましたからね。。

お気づきになりましたか?
そうです。
私たちは何度も何度も失敗したにも関わらず、お薬のロスは0だったのです。
通常、お薬の投与に失敗すると、唾液でお薬が溶かされて形が崩れてきます。
これは、お薬がお腹で溶けやすくして、体に吸収しやすくするためです。
MUTIANはその点、少し硬い印象がありますが、それでも何度も何度も失敗できるほどの強度はないはずです。
それなのに、シシはお薬のロスがありませんでした。
この立役者が【メディボール】通称「お団子」なのです。

メディボールは錠剤を練り物のような物で包んでお薬を保護する投薬補助道具です。
これで包むことで、猫さんの唾液に触れてもお薬がぬれるのを防いでくれます。
これにより、錠剤を崩壊から守ることができるのです。
また、潤滑性があるようで、錠剤を単品で投与するよりも嚥下しやすくなるようです。
これは私の体感ではあるのですが、一応は検証済みです。
このように、お薬を飲みこみやすくしたり守ったり…と、かなり優秀なのがこのメディボールです。
ただ、錠剤を練り物で包むため、どうしても物理的に大きくなります。
そのため、猫さんへのお薬投与に慣れてないうちは「こんなに大きい物を本当に飲めるのか?汗」と感じてしまうかもしれません。
一応、飲めるは飲めるのですが、ただでさえ大きい錠剤がより大きくなるので、その点は留意したいところです。
しかし、それを折り込んでも、メディボールでお薬を保護することの意義・価値はとても大きいです。


次に使用頻度が高かった補助道具は【シリンジ】です。
当然、シリンジ単品で使うわけではなく、中に水を入れて投薬後の飲水を促すのが目的です。
シシは治療後半のMUTIANはメディボールなしで飲んでいたので、この「シリンジで水を飲ませる」という行程は必須でした。
なぜなら、水で流し込まないと錠剤が粘膜の水分を吸って貼りついてしまい、飲みこみづらくなるからです。
これを防ぐために、シリンジが活躍しました。
最終的には①お薬をノドに送り込む②シリンジで流し込む…というのが一連の流れとして定着したくらいです。

ちなみに、シリンジに入れておく水分量は5mlくらいで充分です。
人のようにゴクゴクと水量で豪快に流し込むわけではなく、シリンジで水分を供給して不足分を補ってあげるくらいでスムーズに飲みこんでくれるようになります。
本当に数滴くらいで充分ですので、あげ過ぎないように気をつけて下さいね。


つぎに試した補助道具は【ピル・ガン】です。
ピルはお薬で、ガンは鉄砲ですね。
構造的にはピンセットでお薬をつまんで、喉の奥に入れやすくしているような感じです。
これはシシにも最初試してみたのですが、私たちの使い方が良くなかったのか、あまり有効ではありませんでした。。
特に、メディボールを使いづらくなる点が、初心者の私たちにとってはハードルを上げてしまっていたと思います。
構造的には猫さんがお薬を飲みやすくなる「舌の奥の山」を越えやすくする仕掛けになっているので、扱いが上手な人が使うととても投与しやすくなると思います。
しかも、私の場合は直接指で押し込んでいましたが、ピルガンならその必要がないため「指をカジられそうで怖い」という人にはオススメできるかもしれません。
ただ、私自身は上手く扱うことができなかったので、コツなどは心得ていません。
もしピルガンで投薬をご検討でしたら、他のFIP猫さんの情報から使用例などを参考になさると良いかと思います。


総括としては、投薬の補助道具として使うのであれば、慣れるまではメディボール一択ではないかと思います。
投薬に慣れてきて、猫さんにも飼い主さんにも余裕が出てきたら、シリンジやピルガンを試してみて、そちらの方が良さそうだと感じたらその時に変えれば良いと思います。

余談③病院代以外の費用【2022.03.22】黒猫闘病記

シシのFIP治療でかかった費用については以前にここでも紹介しましたが、実はあれは病院代のみでした。
実際は投薬補助道具を購入していたり半強制給餌用にちゅーるを大量購入していたため、これらも治療にかかった費用といえなくもないですよね。

そこで「そのようなものにいくらくらいかかったのか」計算して…みようと思ったのですが、あまりにも細々としていて追いきれませんでした。汗
そのため、おおよその参考価格で、記憶に残っている範囲の費用を算出してみることにします。
本当に参考にしかならないですが、参考程度に。

まず、投薬補助道具として購入したものですが、これは①ピルガン②シリンジ③メディボールの3つです。
このうち①ピルガンは500円前後、②シリンジはたぶん200円前後だったと思います。
③メディボールは600円くらいでしょうか。
合わせると…1300円くらいですので、余裕をもって1500円としておきましょう。

次にカリカリが食べられなかった時に与えていたご飯代です。
まずはなんといっても①ちゅーるですね。
ちゅーるだけで100本は購入していると思うのですが、残念ながら消耗品なのでいくつ買ったのかは覚えていません。
とりあえず、20本入りの平均価格700円を5個というザックリ計算で3500円ということにしておきます。
あとは②ウェットフード各種で合計1000円くらい、それから③ちゅーる以外のおやつですが、これはもうあれもこれもいろいろ買ってしまったのでまったくわかりませんが、おそらく3000円分くらいではないかと。。
とりあえず、これで合計を出してみると7500円くらいということになりますね。

この他に「やれることは何でもやってみよう!」と加湿空気清浄機(約20000円)とミキサー(約4000円)を購入しましたし、少しでも温かく過ごせるようにと猫ベッドに使える毛布やフリースなども購入しました(合計6000円くらい)。
暖房フル稼働の電気代や病院への交通費、普通のカリカリやトイレなど最低限必要なものまで含めると面倒なので、この辺りは流石に割愛します。

といったところで、①投薬補助道具1500円②食費7500円③その他30000円というのがおおよその金額で割り出され、合計は39000円です。
ザックリ4万円くらいという感じですね。
この他にも、私たちがすっかり失念してしまっているものもありそうなので、おそらくは5万円前後かかっていたとみておいた方が良さそうですね^^;

余談④去勢について【2022.06.06】黒猫闘病記

先月、シシはついに1歳になりました。
猫さんの1歳は人の20歳と同じなので、成猫したことになります。
まずは大病したにもかかわらず、無事に1歳を迎えることができてうれしいです。
お世話になった方々には本当に感謝です。

さて、そんな大人になったシシですが、やはり発情期というものからは逃れらなかったようです。。
ここのところ、我が家でスプレー行動をするようになってしまい、なんとなく匂うのです。汗
時にはお布団に粗相をしていたり、少し問題行動が。。
自然なことかもしれませんが、飼い主としてはたまりません。

本来、FIPを発症した猫さんは避妊去勢をしない方向で飼い続けることになっています。
これは避妊去勢の手術によるストレスが再発の起因になるからだということです。
しかし、実際のところは「わかっていない」そうです。
ただ、元気だった猫さんが避妊去勢後にFIPを発症するケースが多いらしく、それで「因果関係は証明されていないけど、リスクがあるからやらない方が良い」という解釈になるようです。

このことは以前に獣医さんから説明されており、私も納得していました。
その際、獣医さんから「仮にスプレー行動など、生活に支障が出るようなら検討しましょう」といわれていたのですが、まさかそんな事態にはなるまいと思っていました。
が、そんな事態となってしまったのです。。

正直、実際に体験するまでは「まさかスプレーくらいで生活は破綻しないでしょ」と思っていました。
しかし、破綻まではいかなくても支障は出ました。。

シシのスプレー行動が明確にわかってからというもの、私はシシがスプレー行動をする場所に向かうと落ち着いて見ていることができなくなりました。
つい後を追いかけて捕まえてしまったり、間に合わずにスプレーしてしまったら除菌シートで拭いてまわったり。
家で過ごすリラックスタイムのはずが、まったくリラックスできないのです。
極めつけは夜です。
いつも一緒に寝ているのですが、シシが起きだすと気になってしまって私も起きてしまうのです。
朝の3時半とかに。。
数日の我慢…とかで治まるのなら良いのですが、これはもうずっとです。
流石にこれでは体がもちません。

…ということで、シシにも去勢を受けていただこう思います。
獣医さんに相談したところ「やむなし」ということで、渋々ながら許可は下りました。
念のため今回採血分の抗体価を見てから…となりましたが、今のところ近々去勢予定です。

個人的にはスプレー行動をしようとする度に飼い主がついてきて、邪魔されたり拭いてまわられたらそっちの方がストレスのような気がします。
去勢によって落ち着き、私たちも心穏やかに、シシも余計なイライラがなくなってくれればと思います。
もしも猫さんのスプレー行動を抑える良い方法をご存知の方がいらしたら、ご教授いただけると嬉しいです。

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