step1.動きやすい体づくり
概要でも少し触れましたが、そもそも人の体は理想的に動ける状態ではありません。
もちろん、技術不足や体力不足が原因で思い描いた動きができないこともあるでしょう。
しかし、それ以前にそもそも物理的に動きにくくなっている人が多いのです。
パフォーマンスアップ4step理論の【step1.動きやすい体づくり】では、その物理的に動きにくい状態を改善して動きやすい体づくりをしていくのですが、その「物理的に」をもっと簡単な表現に直すとこのようになります。
「体が硬い」
シンプルですね。
ですが、避けては通れない問題です。
では、体が硬いとなぜ動きにくくなってしまうんでしょう?
ここではその理由について3つに絞って説明していきます。
1.可動域が狭い
「体が硬い=可動域が狭い」
これは直接的でシンプルでわかりやすいですね。
人は自分の体が動く範囲の運動しかできません。
ということは、体の可動域が狭いと「選べる動作が限られる」ことになります。
スポーツでは状況に応じていろいろな動作が求められますし、体勢だって充分とは限りません。
そんな状況で選べる動作が限られているというのは、対応できる状況が少なくなることを意味します。
これはスポーツにとっては大きなデメリットです。
2.力が抜けない
体が硬いと、可動域の限界まで動かさないとできない動きが増えます。
そして、可動域の限界を攻めるような動きをするには、それなりに強い力が必要です。
立位体前屈を想像してください。
体が軟らかい人は、ただ重力に任せて体を倒すだけで屈めます。
それに対して硬い人は、必死に頑張って体を屈めようとします。
このように、何てことのない動きも体が硬いせいで大変な動きになってしまうのです。
そして、立位体前屈くらいならまだ良いですが、実際のスポーツ動作となるともっと大変です。
可動域の限界を攻めて思い切り体を動かせば、それに伴って慣性が働きます。
それを放置しては体のバランスを崩してしまうため、その力を打ち消す力が必要となります。
つまり、ブレーキです。
どういうことかというと「全力で動いて、全力で止まる」ということです。
力を抜くタイミングがありませんね。
スポーツではたまに動きがカクカクしている人がいると思います。
これはこの「全力で動いて全力で止まる」の連続動作です。
3.疲れやすい
体が硬いと可動域の限界を攻める動きが増え、それを実現するために全力で動いて全力で止まります。
これだけでも疲れそうなのは想像できますが、念のため車に置き換えて考えてみます。
全力で動く→アクセルベタ踏み
全力で止まる→急ブレーキ
もうガックンガックン大変ですね。
しかも、ちょっとしか進んでいないのに、ガソリンはたくさん消費してしまいます。
いうまでもないと思いますが、とても燃費の悪い運転の仕方です。
体も同じです。
全力で動いて全力で止まる、そんな使い方をしていたらすぐに疲れてしまいます。
いかがでしょう?
「体が硬い」それだけのことなのに、体が動かないばかりか省エネ性能でも不利になってしまうのです。
これらを少しでも改善するためにも、何よりもまず最初に行うこととしてstep1は【動きやすい体づくり】なんです。
パフォーマンスアップの4step理論
スポーツに限らず「パフォーマンスアップ」つまり何か目標を持った際、それを実現するには①方法と②行動が必要です。
①方法がわかっているのなら、あとは②行動して目標に近づいていけばいいのですが、多くの場合その①方法がわかりません。
だから、多くの人が迷ったり困ったりするのだと思います。
そのため、この①方法は「情報」と言い換えることもできると思います。
つまり、目標を達成するための方法を探す「情報収集」と「情報の精査」が①方法の大部分を占めるということです。
当院が伝えている【パフォーマンスアップの4step理論】はステップ1~3が①方法となり、ステップ4が②行動となっています。
①方法がステップ1~3と段階を踏むのは「ステップ3を行うにはステップ2が必要で、ステップ2を行うにはステップ1が必要」といった前提があるからです。
そして、このようにしてステップをクリアしていくことで目標を達成するための①方法を見つけてもらい、それがわかったら②行動(ステップ4)して目標を達成するための努力を積んでいく。
それが当院の【パフォーマンスアップの4step理論】です。
4step理論の概要
step1.動きやすい体づくり
運動が苦手な人、伸び悩んでいる人、パフォーマンスアップを目指している人は、それぞれ目指すレベルこそ違いますが1つの共通点を持っています。
それは「目標に対して体が動きにくい」ということです。
概要でも少し触れましたが、そもそも人の体は理想的に動ける状態ではありません。
特に、目指すパフォーマンスや目標がある人は、少なくとも現時点ではそれができないから目標になっているのだと思います。
これは、今の体は「そのパフォーマンスや目標が叶わない状態」と言い換えることもできると思います。
ということは、今よりも動きやすい体がつくれたら、目指すパフォーマンスや目標を叶えることができるかもしれませんね。
そのために行うのが、ステップ1【動きやすい体づくり】というわけです。
では、そもそも「なぜ、あなたの体は思った通りに動かない」のでしょう?
ここではその理由について、3つの視点から話していこうと思います。
①技術不足:
これは目標のパフォーマンスを行うための技術がまだ未熟だということです。
スポーツで体を思い通りに動かすには、体を動かす運動技術とその競技に固有の競技技術が必要です。
これらが不足している状態では、思った通りに体を動かすことはできません。
例えば「テニスのフォアハンド」で考えてみましょう。
テニスで最もオーソドックスな打ち方ですね。
オーソドックスと言われるだけに難易度が高い打ち方ではありません。
テニスをやっている人なら最初に習って、最初にできるようになる打ち方だと思います。
しかし、ある技術を持っていない人のフォアハンドは、所謂「手打ち」になってしまいます。
手打ちではボールに力が乗りにくいですし、自分の肘や手首も傷めやすいです。
もちろん楽しむくらいで満足という人はそれでも充分です。
しかし「試合で勝ちたい」と思うなら、手打ちのフォアハンドは改善したいところです。
と、この瞬間「今は手打ちのフォアハンドだけど、これを改善したい」という目標ができます。
すると、この時のあなたの体は「手打ちじゃないフォアハンドができるほど、思い通りに動く状態ではない」ということになります。
手打ちじゃないフォアハンドは、私の観測では技術以外で不足しがちな要素はありません。
つまり、手打ちじゃないフォアハンドができない=技術不足なのです。
このように、思った通りに体が動かない理由の1つとして技術不足が考えられます。
なお、この技術不足について、当院ではステップ2とステップ3で重心と運動技術の面でサポートしていきます。
当院のサポートで不足してしまう競技技術については、コーチやトレーナーさんに相談して工夫してみてください。
②体力不足:
そのパフォーマンスに求められる身体能力に達していない
スポーツで思い通りに体を動かすには、それに応じた基礎体力が必要です。
なぜなら、運動には必ずそれと同等の負荷がかかるからです。
これを理科(物理)では作用反作用の法則といいます。
皆さんも中学校くらいで習っていると思いますが、まさにそれです。
スポーツは高いレベルで活躍しようと思うと、それなりの運動強度が求められます。
つまり、高いレベルの動きについていくには、高いレベルの基礎体力が必要だということです。
このことから、今あなたが思うように体を動かすことができていないと感じていたら、それは体力不足が理由かもしれません。
なお、体力不足について当院では直接的な協力はできません。
なぜなら「整体を受けたら基礎体力が向上した」なんていうことは起こり得ないからです。
ただ、トレーニングを効率良くするために体を整えたり、トレーニング方法のアドバイスなどはすることができます。
そういった部分で良ければ、遠慮なくご相談くださいね。
ちなみに「一人で追い込むのは難しい」という人はフィジカルトレーナーさんに手伝ってもらうのが良いと思います。
③柔軟性不足:体が硬いとできる動きに限界がある
柔軟性が足りていないと思い通りに体を動かすことができないのはわかりやすいですね。
例えばキックボクシングなどでハイキックがしたくても、開脚で90度も開けない人にはちょっと難しいです。
そう、物理的に硬くて動かない(足が上がらない)ということです。
とてもシンプルですね。
これを解決するには、最低でも120度くらいは開脚できる体になる必要があります。
そのために行うのがセルフケアのストレッチであり、我々が施す整体です。
もちろん、一部に他の代替動作でできてしまう人もいるとは思います。
しかし、そんなことができる人が果たして何人いるでしょうか?
あまりにも一般的ではありません。
当院ではそういった一部の人のためではなく、他の一般的な運動能力の人たちができる方法を模索しています。
そして、この例でいくなら開脚が90度までしか開けなかった人が120度まで開脚できるように整体やセルフケアで体づくりを
ただし、それを少しでも和らげて体の制限を減らしていき、動きやすい体にしていくことで
最後に③柔軟性不足ですが、これこそ整体師の真骨頂です。
体が硬くなり、柔軟性が不足していることで起きている関節の可動域制限を和らげて、動きやすい体をつくっていきます。
これらの中で①技術不足についてはこの後の重心コントロールや体を動かすコツで当院なりのサポートをすることが可能ですが、より競技に特化していくと専門のコーチのアドバイスが必要となります。
また、②体力不足についても当院ではサポートができないので、患者さん自身で努力していただくかフィジカルトレーナーさんのサポートを受けていただく必要があると思います。
そして③柔軟性不足ですが、当院では整体やセルフケアを通してこの部分での制限を和らげて、あなたの体を動かしやすい体に近づけていきます。
このように、体の柔軟性を改善して可動域を拡げ、そもそも体が硬くて動かせないという状況から脱するのがstep1の【動きやすい体づくり】です。
どんな高等技術もそれを行使する体の可動域が足りていないと実現は不可能です。
そのため、何よりも重要で最初にやるべき課題となるためstep1になっています。
step2.重心コントロール
スポーツでは激しく体を動かしたり、強い外力に耐える場面がよく見られます。
そして、それに伴って体の重心も大きく動くことになります。
このように、状況に応じて右往左往する重心ですが、正直そんなにあちこち動き回られるとスポーツどころではありません。
そのため、スポーツでは体の最も安定するところに重心を維持する必要があります。
それを行うための能力が【重心コントロール】です。
重心は体の中心軸の近くにある時が最も安定します。
つまり、スポーツでどんなに動き回っても、どんなに強い力を受けても、自分の重心を中心軸の近くに維持するのが【重心コントロール】なのです。
そして、それは以下のような手順で身につけていきます。
①自身の重心位置の把握
②重心の許容範囲を知る
③自身の重心が中心軸の近くにある時の感覚を覚える
④重心を中心軸に置いたまま体を動かす
このようなものを覚え、身につけることができると、重心コントロールは意識しなくても体が勝手にやってくれるようになります。
最初は難しいかもしれませんが、ぜひチャレンジしてみてください。
もう一つの重心コントロール
実は重心コントロールにはこれ以外にももう一つの重心コントロールが存在します。
それは高さのコントロールです。
バレエなどでは「引き上げ」という言葉で重心を上げることを伝え、コンタクト系の格闘技では「丹田」という言葉で重心を下げることを伝えています。
このことからわかるように、重心には高さがあり、それをコントロールすることで競技・場面で有利に立ち回ることができます。
これも重要な重心コントロールなのですが、まずは平面での重心コントロールを身につけましょう。
安定した重心は全ての動作・プレーに活かされます。
step3.体を動かすコツ
キーボードのブラインドタッチはできますか?
コンピューターが必要不可欠となった今、社会人なら大半の人がそれなりにできると思います。
それでは、ブラインドタッチのコツは何ですか?
「Fに左手人差し指、Jに右手人差し指を置く」
「母音の位置を覚える」
「子音の位置を覚える」
「使用頻度の高いショートカットキーを覚える」
私はあまり詳しい方ではないのでこのくらいしかわかりませんが、それでもコツはいくつか挙げることができます。
そして、そのコツが身につくとそのレベルに応じたブラインドタッチができるようになりますよね?
これは運動も同じです。
運動にも体を動かすコツが存在し、それを身につけることでそのレベルに応じた動作ができるようになっていきます。
今まで、これは「運動神経が良い人」「センスがある人」の専売特許でした。
しかし、それも今日までです。
私のわかる範囲にはなってしまいますが、体を動かすコツを必要に応じて提案致します。
これでも一応、現役時代はオリンピック強化指定選手に認定された実績のあるアスリートです。
また、現役を退いて20年が経過した今でも簡単な動きの再現ならできるだけの体は維持しています。
(持病の喘息もあってスタミナは地に落ちましたが)
そのため、かなりの範囲の運動技術はカバーできていると思います。
ただし、私は格闘技以外のスポーツは素人です。
素人なので、そのスポーツ固有の常識は知りません。
常識は知りませんが、効率の良い体の動かし方はわかりますし、理屈も通ります。
そのため、そのスポーツでは非常識な提案をすることもありますが、そんな時は騙されたと思って何度か試してみてください。
意外と「常識の方が間違っていた」というケースも少なくなかったですよ。
ですから、スポーツでパフォーマンスアップを目指すのでしたら、知っておいて損はないと思います。
そんなちょっとした【体を動かすコツ】を覚えてもらうのがstep3です。
参考までにどのようなものがあるか紹介しておきます。
・肩甲骨の動かし方
・肩関節と肩甲骨の使い分け
・肋骨の使い方
・肺と呼吸の使い方
・骨軸という考え方と使い方
・股関節の軸運動
・足の荷重点
・タメの理屈と使い方
今パッと思いつくものでこのようなものがあります。
このあたりはどのスポーツでも共通して使う部分になるので、使用頻度が高いという意味ですぐに思いついたんだと思います。
なお、各スポーツに特化した競技スキルに関しては個別にご相談ください。
すぐにはアドバイスできないかもしれませんが、私なりに試行錯誤してしっくりきた方法を提案致します。
step4.練習
step3でも例に出したブラインドタッチですが、コツがわかったからといって次の瞬間にはマスターしていた…なんて人はいないと思います。
私も「特打」的なタイピング練習ソフトで練習したり、テキストを打ち込む経験を積むうちに少しずつスムーズに素早く打ち込むことができるようになっていきました。
あなたはどうですか?
それなりに練習・経験を積んだのではないでしょうか?
このように、コツや技術は知っただけでは身につきません。
ちゃんとできるようになるには、どんな技術も練習が必要です。
当然、スポーツもそうです。
もちろん、ベースとなる技術ができている人ならコツを掴むだけでできるようになってしまう人もいます。
しかし、その通りに動くことはできても、試合で咄嗟に、自然にその動きができるかは別の話です。
個人的には、やはり熟練度は必要だと思うので、できてしまっても練習してしっかりと身につける必要があると考えています。
せっかく知った技術ですから、使えそうだと感じたらぜひ練習してしっかりと身につけてください。
これがstep4です。
4stepサイクル
いかがだったでしょう?
このように、当院では1~4のstepを踏んで運動能力のベースアップを目指しています。
そして、これはstep4までで終わるわけではなくサイクルです。
どういうことかというと、最初のサイクルでは基本的なことをこなせる体を作り、そのための重心コントロールと運動技術を学んで、それを練習して身につける。
次は日常生活で使う・役立つこと、その次はスポーツでよく使うこと、その次は各スポーツの動作に応用して使うこと…といった具合に、このstepを周回しながら徐々に体も技術も高めていくというものです。
得意・苦手、必要・不必要などの事情に応じて取捨選択したり飛び級する部分も出てきますが、基本的にはこのようなサイクルで一歩ずつ底上げしていきます。
「千里の道も一歩より」というワケではありませんが、少しずつできることを増やしていきましょう。
いつかあなたの目標を達成することができるその時まで、当院も精一杯サポート致します。
最後になりますが、本ページのトップに【運動神経をベースアップするための4step】と書かれた図が載せてあったのを覚えているでしょうか?
この図ですが、よく見るとstep4の後にstep1に戻る矢印になっているのですが、気がつきましたか?
そうです、これは始めから4stepで1つのサイクルになっていることを表していたんです。
ここまで読み進めてくれたなら、ぜひ最後にもう一度見てみてくださいね。